超高齢化社会を迎えた南薩地域のニーズに応える医療機関を目指して

 

当院は南薩地域における中核病院の一つとして、内科・外科を中心に地域住民のかかりつけ医としての役割を担うとともに、病状悪化や外傷などの救急患者、原因のはっきりしない病態や複数の疾患を抱えた患者様などを積極的に受け入れております。具体的には、消化器、脳神経、呼吸器、循環器、内分泌代謝疾患(糖尿病、脂質異常などの生活習慣病、甲状腺疾患)、感染症などの内科系疾患や外傷を含む一般外科、消化器外科、小児外科(小児の総合診療を含む)を中心とした外科系疾患の診療、急性期治療後の患者様には病後回復・ADL改善のためのリハビリテーションから在宅復帰、施設入所に至るまでのサポート、またはその後の在宅・施設での訪問診療、訪問看護、居宅介護支援、看取りにまで診療内容は及びます。

 一方、昨今の医療界の傾向は、専門分化がすすみ、個々の疾患領域で高度化がすすみ、専門外の診療は回避され、臨機応変に対応できないといったケースが数多く見られるようになりました。すなわち総合的に診療できる人材や医療施設が不足していることを医療側としても実感しているところです。特に医療資源の乏しい地方ではこのようなことが顕著になってきており、地域医療では各医療機関の専門性のほか、総合的な診療が可能で、さらに通常の診療時間外である夜間や休日での対応が可能な医療機関が求められてきております。

 このような現状を踏まえ、当院では地域社会のさらなるニーズに応えるべく、標榜科目として、新たに救急科および疼痛緩和内科、老年内科を加え、地位奇異の皆様に当院の診療内容をより詳しく知っていただくこととしました。基本的にはこれまでの診療体制に変わりはございませんが、救急患者受け入れのための体制の見直し、整形外科診療枠の拡充と全身麻酔下手術の再開、総合診療に精通し、長年にわたり難病や末期がん患者の診療、在宅医療・緩和ケアにたずさわってきた人材の確保、さらには多くの老人にみられる栄養障害やフレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、各種生活習慣病に対応すべく、栄養状態をより詳細に評価するための機器の導入や教育・体制づくりを行いました。これまで地域で受け入れ困難であった患者への対応がより幅広くかつ円滑に、そして多くの患者様に満足していただけるよう心より願っております。

 地域の皆様が、超高齢化社会、人生100年時代を健康的に、安心して過ごせるような社会づくりに少しでも貢献できるよう、引き続き有馬病院は努力してまいる所存です。

 

令和7年6月   

病院長 松本 正隆